心臓のことが気になって仕事に集中できない方へ

採用面接の日が決まっていたのに、数日前から体調が崩れて、「採用されても出社できない」と絶望し、面接そのものをキャンセルした——。そんな方がいます。

心臓の不安は、仕事のパフォーマンスだけでなく、「働けるかどうか」という人生の土台まで揺さぶってしまうことがあります。

デスクの前で頭が止まる。手も止まる。

ある方は、デザインの仕事をされている中で、日に何度か胸がドクンと脈打つ発作に襲われていました。代表と2人だけの事務所で、「苦しい」とは言えない。発作が来るとそっと深呼吸して耐えるのですが、その間、頭も作業も完全に止まってしまう。締め切りは待ってくれないのに、自分の体が言うことを聞いてくれないもどかしさ。

別の方は、立ち仕事の現場で動悸が頻発するようになり、事務職へ配置転換をしてもらいました。会社は配慮してくれたのに、なぜかやる気が出ない。前はいろんなアイデアが浮かんでいたのに、何も出てこない。エネルギーごと奪われたような感覚。

そしてもう一人。週3日でも働きたい、老後の資金を少しでも——と求職活動をしていたのに、面接の数日前に体調が悪化。「勤め上げられない」と悟った瞬間の絶望は、お金の問題だけでは説明できません。「自分はもう、社会に参加できないのかもしれない」。その思いが一番、重いのです。

脳は「その場面」を記憶している

心臓は一日中、休みなく動いている臓器で、その動きは自律神経がコントロールしています。そして自律神経は、感情と深く結びついています。

一度、ある場面で強い恐怖や不安を感じると、脳はその場面そのものを「危険」として記憶してしまいます。職場で強い動悸に襲われた経験があると、同じ職場に行くだけで、体に問題がなくても症状が呼び起こされてしまう。配置転換された新しいデスクであっても、「仕事」というカテゴリーそのものに、脳が警戒のフラグを立ててしまうのです。

だから集中できないのは、やる気の問題ではありません。気合で乗り切れる話でもない。脳の防衛反応として、誰にでも起こり得ることです。

まずは「逃げ場」と「根回し」を

職場で今すぐできることが2つあります。

ひとつは、心を落ち着けられる場所をあらかじめ決めておくこと。休憩室でも、トイレでも、給湯室でも構いません。「あそこに行けば大丈夫」という場所が決まっているだけで、脳の警戒レベルが少し下がります。

もうひとつが、周囲への「根回し」です。「今こういう状態なので、途中で休憩を申し出るかもしれません」と、症状が出る前に伝えておく。この一言があるだけで、いざという時に「言っていいのだろうか」と迷う摩擦がなくなります。その摩擦そのものが、余計な交感神経の興奮を引き起こしているのです。

「働きたい」は、あなたの大事な力です

面接をキャンセルした方は、「働けない自分」に深く傷ついていました。でも、そもそも面接に申し込んだこと自体が、ものすごい行動力です。社会に参加したい、自分の力で生きていきたい——その思いは、今は体調に押しつぶされているだけで、消えてはいません。

焦って社会復帰を急ぐ前に、まずはご近所への買い物、短い散歩、そんな小さな「外出の安心」を1ミリずつ積み重ねていくことが、脳の過緊張を最もやわらげます。体が「外に出ても大丈夫だった」という事実を覚えてくれたら、仕事への道は、その延長線上にあります。

まとめ

心臓の不安で仕事に集中できないのは、気持ちの問題ではなく、脳が特定の場面を「危険」として記憶してしまうために起こります。逃げ場を決めておくこと、周囲にあらかじめ伝えておくこと。この2つがまず大きな支えになります。そして「働きたい」と思えること自体が、あなたの中に残っている確かな力です。

仕事のパフォーマンスが戻らない方へ

薬だけでは取り戻せない「力」があります。心臓リハビリ指導士が、治療のその先にある心臓ケアと、日常を取り戻すまでの考え方を無料Webセミナーでお伝えしています。

▶ 無料で視聴する

※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール