「薬を飲んでいるのに不安が消えない」には理由がある

毎日10粒の薬を飲んでいる。それなのに、良くなっている実感がない——。ある方はそう話してくれました。薬を飲み忘れたら不安、飲んでも不安。「薬さえ飲んでいれば大丈夫」と自分に言い聞かせているのに、心は一向に晴れない。

この「薬を飲んでいるのに消えない不安」には、ちゃんと理由があります。

薬が守っているものと、守れないもの

薬は、決して無意味なものではありません。血管を広げたり、血圧を下げたり、血液が固まるのを防いだり。心臓や血管を物理的に守る、とても大切な働きをしています。

ただ、薬が担当しているのは「体」の部分です。心臓という臓器を守ること。一方で、不安という感情は、心臓ではなく「脳」が作り出しています。自律神経を通じて、感情の動き、日常の生活リズム、睡眠の質——そうしたものすべてが心臓に影響を与えています。

つまり、薬は心臓を守ってくれるけれど、不安を生み出している脳のスイッチまでは切ってくれない。だから「薬を飲んでいるのに不安が消えない」というのは、むしろ当然のことなのです。

薬と生活習慣、本当の役割分担

では、薬と生活習慣は、どれくらいの割合で心臓に影響しているのか。

入院が必要な重篤な状態であれば、薬の役割は圧倒的です。でも、自宅で日常生活を送れている段階であれば、話は変わります。水分摂取、食事、運動、睡眠、禁煙——この5つの基本的な土台が、薬と同等かそれ以上に影響していると考えられています。

ところが多くの方は、この土台が10点満点中2〜3点の状態のまま、「何かいいサプリメントはないか」「特別な施術はないか」と足し算に走りがちです。ある方は、β遮断薬を処方されて飲んでいたけれど結局やめ、鍼治療やオステオパシー、漢方薬と次々試したものの、根本的には変わらなかった。外から何かを足す前に、まず土台をきちんと整えること。それが、薬の効果を最大限に引き出す前提になります。

「薬をやめたい」は、わがままではない

「薬をやめたい」。その気持ちを口に出せず、一人で抱えている方は多いです。

薬にはメリットと同時に、向き合わなければならない面もあります。副作用の不安、一生飲み続けるのかという重圧、「これ本当に効いているのか」という疑問。どれも自然な感情です。

ただ、自己判断でやめてしまうのは危険です。大切なのは、主治医に「なぜやめたいのか」「どんな不安があるのか」を情報として伝えること。わがままとしてではなく、自分の体のことを一緒に考えてほしいという姿勢で伝えれば、減薬の可能性や代替案など、一緒に考えてくれる医師は必ずいます。

ただ現実には、「診察時間が短くて何を質問していいかもわからない」「先生が事務的で、精神的な苦しさを相談できる雰囲気じゃない」——そう感じている方もたくさんいます。3分の診察では、薬と検査の話で終わってしまう。だからこそ、薬では届かない「脳と自律神経」の部分を支えてくれる場所が、薬と並行して必要になってくるのです。

まとめ

薬は心臓と血管を守るために欠かせないものですが、不安を生み出しているのは脳と自律神経です。だから薬だけで不安が消えないのは、あなたの気の持ちようの問題ではありません。水分・食事・運動・睡眠・禁煙という基本の土台を整えること、そして薬では届かない部分を支えてくれる場所を持つこと。それが、不安と向き合う本当の近道です。

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※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。服薬内容の変更は必ず医師にご相談ください。

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