心臓の不安を「見える化」する方法

ホルター心電図をつけている時に限って、症状が出ない。そんな経験をした方は少なくありません。「ほら、異常なしですね」と言われるたびに、「でも、つけてない時には確かに出ているのに」ともどかしさだけが残る。

心臓の不安は、目に見えないから辛いのです。今日は、その不安を「見える化」することの力についてお伝えします。

「すごく苦しかった」のに、心拍数は70だった

「すごくドキドキして苦しかった」——そう感じた瞬間に、実際の心拍数を測ってみると70。いつもと変わらない数字。こういうことは、実はよくあります。

私たちの脳には、何かに集中していない時にも働き続ける「自動運転」のような仕組みがあります。この仕組みが過敏になっていると、体のわずかな変化を次々に拾い上げて、「すごく息苦しい」「これは危ないかもしれない」と、感情で意味づけをしてしまう。そしてその意味づけが、脳の中で不安をさらに増幅させるという悪循環が生まれます。

つまり、感じている苦しさの強さと、体で実際に起きていることの大きさは、必ずしも一致していない。ここがポイントです。

「主観」と「客観」を並べてみる

ここで力を発揮するのが、記録という行為です。

「すごく不安だった」——これは主観です。「心拍数70」「血圧130/85」——これは客観的な事実。この2つを並べてみると、「あんなに苦しかったのに、数字はいつも通りだった」という事実が浮かび上がってきます。

この事実の積み重ねが、脳の過剰な警戒モードを少しずつ和らげていくのです。

ある相談者の方は、日々の記録を振り返る中で、こうおっしゃいました。「あ、今の自分は自分を責めてしまっていますね」「でも、ちゃんと自分のいいところも見られている」。記録をつけること自体が、感情から少し距離を置いて自分を眺める練習になっていたのです。

ホルター心電図では捉えられない不安の正体

ある方は、何度もホルター心電図検査を受けました。でもそのたびに、装着中は症状が出ない。まるで症状が「隠れてしまう」かのようです。本人はもどかしい。「こんなに毎日ドキドキしているのに、証拠がない」。

これにも理由があります。検査装置がついていること自体が、ある種の「見守られている安心感」を脳に与えていて、警戒モードが少し緩んでいる可能性があるのです。逆に言えば、日常の中で「見守られている感覚」が持てれば、それだけで不安は和らぐということ。

だからこそ、日常的に自分で記録をつけることに意味があります。特別なフォーマットは必要ありません。スマホのメモでも、紙の手帳でもいい。「今日の心拍数」「感じたこと」「その時何をしていたか」を簡単に書き留めるだけ。

振り返る時には、2つのことに注目してください。ひとつは、自分にどんな言葉で語りかけているか。「どうせダメだ」「やっぱりおかしい」——そういうセルフトークが多いなら、それ自体が不安を強めている可能性があります。もうひとつは、本当に注意が必要な数字の変化がないかの確認。記録は、危険を見逃さないためのセーフティネットにもなります。

まとめ

心臓の不安は、感情という主観と、心拍数や血圧という客観の間にズレがあることで強まっていきます。記録をつけて2つを並べてみることは、脳の過剰な警戒を和らげるシンプルな方法です。ホルター心電図をつけた時だけ症状が出ないのは、「見守られている安心感」が脳に作用しているから。日々の記録は、その安心感を自分で作り出すための道具になります。

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※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。

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