症状は胸で起きる。でも「感じている」のは脳です。
動悸がする。胸がドキドキする。
病院に行った。検査をした。「異常ありません」と言われた。
なのに、不安が消えない。
その不安は、あなたの気のせいではありません。
脳が「警戒モード」に入っている可能性があります。
「警戒モード」とは何か
脳には、体の異常を監視するシステムがあります。
一度でも強い胸の症状を経験すると、脳は「もう二度とあんな目に遭わないように」と、体のセンサーを最大感度に設定します。
すると、本来なら気にならない小さな信号まで拾ってしまう。
筋肉のピクつき、消化器の動き、姿勢の変化——どれも「心臓の異常かもしれない」と脳がアラームを鳴らすのです。
これが脳の警戒モードです。
「信じられない」という反応
この話をすると、2つの反応に分かれます。
「そうだったんだ」と納得する方。
そして、「信じられない」と首を横に振る方。
信じられないのは当然です。
だって、症状は本当に感じているのですから。
ここで大切なのは、「症状がない」と言いたいのではないということ。
感じている症状は本物。ただ、その原因が心臓ではなく、脳にある可能性があるということです。
警戒モードが解除される瞬間
私がサポートしている方々には、こんなアプローチをしています。
症状が出た時、こう聞きます。
「何がやばいと感じましたか?」
「このままどうなったら怖いですか?」
答えは重い言葉になることもあります。
「このまま死ぬかもしれない」「息ができなくなるかもしれない」。
それを、否定せずに言葉にしてもらいます。
そして、こう確認します。
「実際に、その後どうなりましたか?」
ほぼ100%の方が、こう答えます。
「……起きなかった」
その瞬間、ご自身でおっしゃるのです。
「あっ、脳が警戒してたんだ」
繰り返すことで、脳は学習する
大事なのは、この体験を繰り返すことです。
1回では不安は消えません。
でも、「感じた → 言語化した → 実際には起きなかった」を何度も繰り返すうちに、脳は少しずつ警戒レベルを下げていきます。
自律神経と感情の関係
もう1つ重要なのが、感情と自律神経のつながりです。
不安や緊張を感じると、交感神経(緊張する神経)が活発になります。
これは正常な反応です。
問題は、この交感神経のスイッチが常にオンになっている状態。
日常的に緊張が続いていると、血管が常に縮こまり、心臓に負担がかかり続けます。
「気持ちの問題でしょ」は半分正しくて、半分間違い
周囲から「気持ちの問題じゃない?」と言われることがあるかもしれません。
私の考えは、半分正しくて、半分間違いです。
気持ちの問題もあります。
ただし、あなたのせいではありません。
脳の働きが頑張りすぎている状態。
悪循環の過程で起きていること。
大切なのは、自分を否定しないこと。
「そういうことが起きているんだ」と、一歩引いた場所に立てれば、冷静に対処できるようになります。
⚕️ 動悸や胸の症状が続く場合は、まず循環器内科を受診してください。本記事は医学的な診断に代わるものではありません。
「異常なし」でも胸が痛いあなたへ
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*心臓ケアコーチ|有吉*
*理学療法士 × 心臓リハビリテーション指導士*