ドクン、と大きく脈打った瞬間、反射的に手首を押さえて心拍数を数えた。結果は70。いつもとほとんど変わらなかった——。こんな経験をしたことはありませんか。
心拍数は、正しく付き合えば、不安を鎮めてくれる一番身近な「味方」になります。
「ドクン」=「危険」ではない
心臓の不安を抱えている方の多くは、心拍数のわずかな変動にも過敏になっています。ドクンという鼓動を感じた瞬間、「これはまずい」と反射的に結びつけてしまう。でも、心拍数は本来、危険を知らせる警報ではなく、今の自分の状態を教えてくれる「信号機」のようなものです。
まずおすすめしたいのは、自分の安静時心拍数がどれくらいのレンジにあるのかを知っておくこと。寝ている時、起きてすぐ、日中——時間帯によっても変わるので、こまめに測ってみてください。「いつもはこのくらい」という基準を持っておくだけで、「今日はちょっと高いな、何かあったかな」という健全な気づき方ができるようになります。
数字が、不安のループを断ち切る
スマートウォッチの活用は、とてもおすすめです。心電図まで測れる高機能なものでなくて構いません。心拍数だけ拾える機能で十分です。
やってほしいのは、不安を感じた瞬間の心拍数を確認すること。「すごく苦しかった時の心拍数は85」「動悸がひどいと思った時の血圧は130」——感じた不安の大きさと、実際の数字を並べてみてください。多くの場合、この2つは一致しません。
「あんなに苦しかったのに、数字はいつも通りだった」。この事実が1回、2回、3回と積み重なることで、「ドクン」→「やばい」→「さらに心拍が上がる」という不安のループに、少しずつブレーキがかかっていきます。
運動する際には、安全な心拍数の目安も知っておくと安心です。おおよそ(220−年齢)×0.6〜0.7程度が中等度運動の一つの基準。ただし、心臓に不安がある方は、自己流で心拍数の上限を設定するのではなく、一度CPX(心肺運動負荷試験)を受けて、自分の安全な範囲を正確に知っておくことが理想です。
「大丈夫」を、事実の言葉にする
心拍数という客観的な事実を、自分への声かけと組み合わせてみてください。「今、心拍数70。大丈夫」。根拠のない「大丈夫」ではなく、数字に裏付けられた「大丈夫」。この違いは大きい。
小さな違和感をすぐに最悪の結末と結びつけてしまう思考のクセは、一朝一夕には変わりません。でも、数字で「大丈夫だった」という事実を毎日積み重ねていくことで、脳の警戒モードは少しずつ緩んでいきます。心拍数は、あなたの体の「味方」です。
まとめ
心拍数は、不安をあおる敵ではなく、今の自分の状態を教えてくれる信号機です。安静時と運動時、両方の心拍数を知っておくこと。不安を感じた瞬間の心拍数を確認して、感覚と事実のズレに気づくこと。この積み重ねが、心拍数を「味方」に変えていく第一歩になります。
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※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。運動を始める際は必ず主治医にご相談ください。