心拍が測れるようになったのは、良いことのはずでした。
ところが実際には、こういう方がいます。
- 朝起きて、まず睡眠スコアを見る。数字が低いと、その日一日調子が悪い気がする
- 布団を干していて脈拍が112になり、「これは普通なのか」と不安になる
- 数字を見ていないと落ち着かないが、見ると落ち着かない
測るほど、心臓が怖くなっていく。これは道具が悪いのではありません。使い方の問題です。
数字は、意味を持っていません
脈拍112という数字そのものに、良いも悪いもありません。布団を干していれば上がります。階段を上がっても上がります。それは心臓が仕事をしている証拠です。
問題は、数字を見た瞬間に脳が意味をつけることです。
112 → 高い → 何かおかしい → やばい
この流れは、胸の「ドキッ」に「やばい」を足すのとまったく同じ構造です。測定器が、意味づけのきっかけを1日に何十回も供給している状態になります。
見る回数は、何回でもいい
「見る回数を減らしましょう」と言うと思われたかもしれません。私は、そうは言いません。
不安なら、何回見てもいいです。
ただし、条件がひとつ。数字に意味をつけないこと。
「90台だった。やばいかも」となるのは、数字に意味をつけているからです。意味をつけると、当然怖くなります。怖くなることは、分かっているのです。だから、そこで止める。「今、90くらいだった。今、心臓は動いている」。それだけです。そこから先の解釈に進まない。
実は、症状を感じたときに数字を見るのは、使い方によってはとても役に立ちます。「ドキドキして怖い」という感覚が、「90台で、怖いと感じている」という数字になる。感覚が数字になった瞬間、一歩引いて見られるようになります。「自分は90くらいで怖いと感じるんだな」と分かる。これは、不安の輪郭をつかむ材料です。
睡眠スコアは、他人と比べない
睡眠スコアについても聞かれることが多いので、お伝えしておきます。
睡眠スコアは、メーカーによって計算の仕方が違います。測定の環境でも数字は大きく変わります。だから、横並びで一律に評価できるものではありません。「平均より低い」に意味はないと思ってください。
使うなら、自分の中で比べる使い方です。先週と今週。エアコンをつけた夜とつけなかった夜。寝る前にスマホを見た日と見なかった日。自分の生活と数字の関係を眺める。それなら、数字は味方になります。
つけていること自体が怖い人は、いったん外していい
ここまでは「見てもいい」という話をしてきましたが、例外があります。
測定器をつけていること自体が怖い、という方です。
腕にずっとついていることで、「自分は心臓を監視しないといけない人なんだ」「本当に心臓が悪くなってしまったんだ」というイメージが膨らんでいく方がいます。この場合、数字の問題ではなく、つけていること自体が不安を育てています。
そういう方には、無理につけなくていいと伝えています。代わりに、運動やコンディショニングのときだけつける。ストレッチや軽く体を動かすタイミングだけ、確認のためにつける。それ以外は外す。
そして、こういう方でも、だんだんつけられるようになっていきます。不安との距離が取れてくると、測定器は監視カメラではなく、ただの道具に戻ります。焦らなくて大丈夫です。
まとめ
心拍を測るほど怖くなるのは、数字に脳が意味をつけているからです。見る回数は何回でもかまいません。ただし「今、心臓は動いている」で止めて、解釈に進まない。症状のときに数字を見ると、感覚が数字になり、一歩引いて見られます。睡眠スコアは自分の中でだけ比べる。つけていること自体が怖い方は、運動のときだけつけて、あとは外していい。測定器は、使い方次第で敵にも味方にもなります。
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※この記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を行うものではありません。症状がある方は必ず医療機関を受診してください。